砂場

砂場

本の感想と日記。些細なことを忘れないように記す。

すっかり更新を忘れておりました。ブログ名「書店員失格」から「砂場」に変更。(2013/10/8)
Amebaでブログを始めよう!

長年の間、放置してたら変な記事がたくさん書き込まれていたので削除してパスワードなど変えました。すみません。

$砂場-いま、地方で生きるということ

震災後の東北、そして九州を訪ね歩く。震災直後に東北に入りボランティアとして活動する人。その地でコミュニティスペースをつくる人、町に住みながら一緒にまちづくりをする人。取材するのはその地で生まれ育った地元の人ではなく、何かのきっかけでその土地に入り仕事をする人たちだ。そこで働き生きる姿、そこで発せられる言葉を受け止め、地方で生きる意味を問い直す。

僕みたいなごく普通の人間でもそういう教育を受けてくれば、非常時もこうして動けるし、死なないようにできるし、人の役にも立てるし。P60

震災直後の東北。災害救助、緊急支援のプロである人たちが登場する。混乱する災害現場に乗り込み限られた人数と資源にて早急に支援体制を整える手腕など、ぼんやりとした日常を過ごしている私から見ると神業のように思える。生き延びる力。それは人が人として持つ根源的な力なのだろう。生命力を持つ人たちのタフな姿と自分を比べてしまう。

それぞれが「どこに行っても大丈夫」なぐらい自立していて、それで何か一緒にした時、本当に面白いことができるんじゃないかな。P92

なんかいろんなものを抱え込んでしまったけど、もう一度、一個一個小さな塊に戻して、いろんな人に手渡してゆく作業をしないといけないと思っているんです。
いちばん小さな単位で「家族」とか、あと「町内」とか。P172


コミュニティースペースやまちづくりに携わる人たちも自立している。けれど「生き延びる」とは違い「どう生きるか」という問いを抱えながらの活動は、確固たる自信のある人からゆらぎのある人まで様々だ。タイトルに「地方で生きる」とあるが、ひとくくりにできる「地方」という場所はない。これはグラデーションではなくまだらな濃淡だけど、農村部や山間部で自然と一体感のある人ほど自分自身の感覚に自信があり、地方の中でまちづくりとして「町」や「人」に関わっている人たちのほうが悩んでいるように見える。ここでも身体の感覚を基盤にできた人の強さを感じる。けれど答えが見つからない人たちにこそ共感して、もっとその人の話をききたいとも思う。

この本は読むことによって「地方で生きる」ための答えがでるという本ではなく、今この場所で自分がどう生きるか問い直されているような感覚になる。僕がここに引っ越してきて、だからこそ読んだのだが読むほどに答えは遠くにあることに気づかされる。

中央でないことは確かだが、今いる場所が地方なのかよく分からない。ここよりは都会だけど、今まで住んでいた場所も地方のような気もする。もっと具体的に地方でこんな事がしたいとか、地方でなくともこの場所でやりたいことがあるという人なら、より深く読み込むことができるに違いない。

僕はちょっと漠然とし過ぎいている。だから読後に思い浮かぶ言葉も抽象的なものに留まってしまう。ここに土地があり、わたしがいて、わたし以外のひとがいる。全てがそこから始まることは確かだなとか。いつか再読したい。

「精神の風が、粘土の上を吹いてこそ、はじめて人間は創られる」(『人間の土地』サン=テグジュペリ)
2013年2月の読書メーター
読んだ本の数:9冊
読んだページ数:4290ページ
ナイス数:34ナイス

いわずにおれない (集英社be文庫)いわずにおれない (集英社be文庫)感想
こんなおじいちゃんになりたいものだ。詩を書く力はなくても、こんなふうに世界をやさしく、驚きの目で見てみたい。私たちは何も知らないのだなと思う。そう気づかされる。
読了日:2月28日 著者:まど・みちお
世界から猫が消えたなら世界から猫が消えたなら感想
ページ数も少なく文章も軽いからと行って油断してはいけない。涙もろい人は電車や他人のいる所で読むのは危険。ひとりで読むか、涙を見られてもいい相手の前だけにしておいたほうがいい。私は、ほら花粉症の季節なだけで。
読了日:2月27日 著者:川村 元気
海賊とよばれた男 下海賊とよばれた男 下
読了日:2月27日 著者:百田 尚樹
海賊とよばれた男 上海賊とよばれた男 上
読了日:2月25日 著者:百田 尚樹
スタッキング可能スタッキング可能感想
笑いながら気がつけば私もスタッキングされていた。
読了日:2月15日 著者:松田 青子
ソロモンの偽証 第III部 法廷ソロモンの偽証 第III部 法廷感想
みんな知ってると思うけど、宮部みゆきは面白い小説を書くために生まれてきた天才であると改めて確信した。
読了日:2月11日 著者:宮部 みゆき
ソロモンの偽証 第II部 決意ソロモンの偽証 第II部 決意
読了日:2月8日 著者:宮部 みゆき
ソロモンの偽証 第I部 事件ソロモンの偽証 第I部 事件
読了日:2月6日 著者:宮部 みゆき
光圀伝光圀伝感想
詩を愛し義に生きた男の見事な生き様をみた。数々の出会いと別れ。生きることの喜びと悲しみが溢れている。
読了日:2月2日 著者:冲方 丁

読書メーター
一年間で一番本を読む季節到来中。本屋大賞のノミネート作の読書に突入しております。いつもは軽めの小説も入ってくるけれど、今回は読み応えある力作揃い。トータルページ数も過去最高でちょっと2月末までは難しいかと思いきや、面白いからサクサク読んであと2作品。

2013年1月の読書メーター
読んだ本の数:7冊
読んだページ数:2742ページ
ナイス数:18ナイス

64(ロクヨン)64(ロクヨン)感想
読み終えた時の充実感が半端ない。この小説凄い。
読了日:1月30日 著者:横山 秀夫
楽園のカンヴァス楽園のカンヴァス感想
この本はいい本だ!前評判いいからすごくハードル上がってるのに、それでもこんなに楽しめる。これを学校の夏休みの課題図書にして、同時に美術で絵を書く宿題だしたら、みんな全力で書いてくるのではなかろうか。
読了日:1月28日 著者:原田 マハ
百年法 下百年法 下
読了日:1月25日 著者:山田 宗樹
百年法 上百年法 上
読了日:1月23日 著者:山田 宗樹
晴天の迷いクジラ晴天の迷いクジラ
読了日:1月22日 著者:窪 美澄
トマス・ピンチョン全小説 LAヴァイス (Thomas Pynchon Complete Collection)トマス・ピンチョン全小説 LAヴァイス (Thomas Pynchon Complete Collection)感想
ピンチョンを初読了。ふつーに面白かったけど、アメリカンカルチャーにうといので分からない固有名詞いちいち引っかかってしまい、満喫できなかった感が残ってしまったのが悔しい。
読了日:1月10日 著者:トマス ピンチョン
せんねん まんねん―まど・みちお詩集せんねん まんねん―まど・みちお詩集感想
まどみちおさんは難しい言葉や言い回しをまったく使わず子供のような視点で世界を一変させる。すごいなあ。
読了日:1月5日 著者:まど みちお

読書メーター
明けましておめでとうございます。
今年ものんびり行きたいと思います。

12月は他にも歌集やら詩集をいくつか読んだのだけど、読み終えるということができず、パラパラと読み直したりしております。どのタイミングで読書メーターに登録したらいいものか分からないです。
『タラチネ・ドリーム・マイン』はこのステキな世界観をうまく言葉として掬い上げることができず、文章化に失敗しました…。

2012年12月の読書メーター
読んだ本の数:3冊
読んだページ数:778ページ
ナイス数:16ナイス

幸福のパン種―堀口大学詩集幸福のパン種―堀口大学詩集感想
堀口大學さんの詩・訳詩の中から娘の堀口すみれさんが選んで編んだ詩集。女性の視点のもの、優しい眼差しの詩が多くて、パラパラめくるだけで幸せな気持になる。 「わが家に在って欲しいもの、/解ってくれる細君と/散らばる書冊のあいだを縫って/踏まずに歩く猫一匹、/命の次に大切な/四五人ほどの友人たち。」(ギヨーム・アポリネール作/堀口大學訳)
読了日:12月17日 著者:堀口 大学
きみはいい子 (一般書)きみはいい子 (一般書)感想
午前中に読み終えてから、ずっと物語が心の奥に残っている。それは自分の子供の頃の記憶と混じり合っていく。両親のこと、娘のことを考える。同級生ことを思いだす。友人ことが頭をよぎる。 苦しいけれど希望のあるラストが好きだ。物語が完結しないのがいい。未来を祈ることができるから。 作者からバトンを渡してもらったように思える。これから先の物語は私がつくるのだ。少しでも光が射すように。
読了日:12月12日 著者:中脇 初枝
タラチネ・ドリーム・マインタラチネ・ドリーム・マイン
読了日:12月5日 著者:雪舟えま

読書メーター